Bay Area Moment

シリコンバレー留学中の上智大生によるブログ

シンギュラリティ大学を訪問してみた

ITの聖地シリコンバレー。しかし、そこで存在感を示すのは民間企業だけではない。

シリコンバレー・サンフランシスコ湾沿いには、米航空宇宙局(通称NASA)と米軍が共有する広大なリサーチセンターが存在している。その中でも、世界中から一際注目を集めているのが謎の教育施設である「シンギュラリティ大学」だ。

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シンギュラリティ大学の基本情報

そもそもシンギュラリティ大学とはどういった機関なのだろうか

シンギュラリティ・ユニバーシティ(Singularity University、2008年 -)は、アメリカ合衆国シリコンバレーを拠点とする教育機関である。ユニバーシティ(大学)と名が付いているが、独自の校舎もなく学位の授与もない。(Wikipedia

なるほど、すなわち正規の大学ではないのである。またこのように続く。

教育、エネルギー、環境、食糧、世界的な保健、貧困、セキュリティ、水資源を人類の最も困難な課題(Global Grand Challenges)と定義し、加速的に発展する革新的技術を使ってこれらに積極的に取り組むことをミッションとしているベネフィット・コーポレーションである。また、革新的技術を開発する企業のための、新しいスタイルのスタートアップ・インキュベーターとしても各種活動を行っている。

かなり壮大なミッションを掲げていることがよくわかる。そして同大学は、2016年夏より「Global Impact Challenge」の公募を開始し、日本含む各国でシンポジウムを開くなど広報に力を入れた。ここまで謎組織であれば当然である。結果、募集人数80名に対して、世界中から数千の応募があったという。このプログラムの優勝者は、同大学で10週間の短期研修に参加することができ、「破壊的技術を持ち、世界規模の課題解決に挑戦したいスタートアップにぜひ応募してほしい」と、卒業生が運営する「エクスポネンシャル」の日本代表であるジョヴァン・レヴォレド氏は語る。また、経営者向けプログラムも開講しているというが、超高額にも関わらず多数の応募があるらしい。(参考: http://bizzine.jp/article/detail/1971 )

更新:同大学には①Google等が費用を全負担する世界80名選抜型10週間のプログラム(GSP)と②1万4000ドルの費用がかかる1週間の経営者向けプログラムがある。

更新2:次は2018年1月下旬に1週間のエグゼクティブコースが開かれるようだ。

 

謎組織である理由のひとつ 

まずはGoogleで情報収集をしてみるも、ニュースサイトの公式な取材を除いて、個人による「訪問してみた」系のブログ記事は存在していない。米Q&Aサイト「Quora」には、「Is it possible to visit Singularity University for "fun"?(観光目的でシンギュラリティ大学を訪問することは可能でしょうか?)」という問いに対して、当大学マネージャーがこのような回答をしている。

Matthew Straub, Digital Engagement Manager at Singularity University

The short answer is, unfortunately, no. We do hold regular info sessions at Singularity University and will very often give tours to select individuals that have a business or potential partnership reason for seeing campus.

残念だけど、端的に答えると「不可能」だ。ただ、シンギュラリティ大学はセミナーを定期開催したり、ビジネスやその潜在的なパートナーのためにシークレットツアーを行ったりしているよ。

(引用元: https://www.quora.com/Is-it-possible-to-visit-Singularity-University-for-fun )

一般開放はされていないようだ。確かにNASAと米軍が共有する立地内でもあることも重なって(いや、これこそが本大学設立に関わる重要な要素だと思うが)、それは難しいようだ。しかし、完全に外部に対して閉ざしているわけではないとのことである。

 

 アポなしで突撃してみた

NASAにはFree Public Visitor Centerがある関係で敷地内に入ることができる。そして、それには目もくれず、なんだかんだ建物の前まで訪問することができた。米軍もいるので恐ろしさもあったが、好奇心には勝てないのである。流れを紹介する。

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まず厳重な警備がなされる入り口を通過すると、近くにNASA RESEARCH PARKの文字がある。シンギュラリティ大学の文字は特にない。

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すぐ近くにはスペースシャトルNASAらしいオブジェクトである。

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右折すると綺麗な協会が佇んでいる。基地内とは思えないほど平和を感じる。

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近くには専用の郵便局も見つけた。

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少し進むと住居のリース看板を見つけた。米軍とNASAにしか貸していないらしい。

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さらに進むとようやくシンギュラリティ大学への標識を発見。

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そしてこれが例のシンギュラリティ大学である。とても小さな建物だ。少数の部屋以外は存在していないようにも思える。ワークショップ形式等でインキュベートすることだけを目的として、あくまで開発等は違う場所でさせるのだろうと解釈した。しかし残念なことに、金曜日ではあったものの閉鎖されていた。人の気配は皆無で閑散としている。建物に立ち入ることはできず、窓から内部を覗くことに。エントランスの電光掲示板は点灯しっぱなしで、某有名コンサルティング会社のロゴも見えた。繋がりが強いのだろう。確かに、「教育、エネルギー、環境、食糧、世界的な保健、貧困、セキュリティ、水資源」の中のある分野で存在感を発揮しているのを知っている。

更新:関係者の方によると、クラスがある時間以外はいつも閑散としていて、また、機密性の高い研修や企業エグゼクティブがいる場合には厳重にロックされ、仮にラボに人がいてもアポ無しでは入るのは難しいみたいです。またインキュベーション施設が道路の反対側にありますが、やはり人がいないことが多いようです。なるほど。

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シンギュラリティ大学の小さな建物の横には居住区域が存在する。先ほどのように主にNASAや米軍が住んでいるものと思われるが、もしかすると経営者が住んでいるかもしれない。一部部屋には生活感があったが、ここも人気はあまりない。

 

結論

シンギュラリティ大学の建物の近くまで訪れることはできたものの、金曜日13時頃にも関わらず閑散としていた。Yコンビネータなどの有名インキュベーターと何が異なり、なぜNASA・米軍の施設内に存在し、それでいて世界中からスタートアップを探し出しているのか。どんどん謎は深まる一方であるが、シンギュラリティ大学のミッションでもあり、そして彼らが生み出す「エクスポネンシャル(指数関数的)」なスタートアップとはどのような企業なのか、引き続き注目をしていきたい。

(ちなみに日本でやるならJAXAの施設内だろうか...?)

 

追記

シンギュラリティ大学の卒業生および賛同するメンバーで構成された非営利組織とその運営母体からなる「Exponential.jp(エクスポネンシャルジャパン)」の公式サイトがある。そこで同大学Cofounderのプロフィールが記載されていたので抜粋したい。

Ray Kurzweil

  • 米国の発明国家勲章を受章、発明家の殿堂入り、21個の名誉博士号と3人の大統領から招へいされた、希代の天才といわれる。
  • 17歳の時に「I’ve Got a Secret」という米国のクイズ番組に出演して、コンピュータ作成した音楽を披露。
  • MIT在学中に起業して諸大学のデータベースを構築して大学選択のプログラムを作成 。
  • その後別会社を設立して、オムニ・フォント式OCR、フラットヘッドスキャナ、 Kurzweilシンセサイザー、文章音声読み上げマシーン(カーツワイル朗読機)など多くの発明。
  • その後、シンギュラリティに関する著作を次々と発表。
  • チェスの試合でコンピュータの勝利をほぼ正確に予測。人ゲノムの解析についても時期を正確に予測。その他、遺伝子解析に係る時間も的中。
  • シンギュラリティ大学を創設。
  • 2012年にGoogleにDirector of Engineeringとして参画、言語処理の研究開発を担当。

天才の中の天才というべき人物なのであろう。

Exponential Japan | Humanity Has Entered An Era Of Rapidly Accelerated Change

 

 ライター

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レジリエンスはデザインシンキングやアジャイルと似ている

mirai.doda.jp

なるほど、レジリエンスはデザインシンキングやアジャイルと本質的に似ているんですね。

スタンフォード大学のデザイン思考のワークショップを見ていても感じましたが、あらゆる産業構造・社会制度・科学技術がめまぐるしく変化している世の中において、「目標を定めて、それにめがけて成長する生き方」は通用しなくなり始めているようです。一方、目の前にある課題を解決する方法を高速で仮説立てて、実行し、すぐにフィードバックを得て仮説修正するといったサイクルをとにかく繰り返すことのできる「変化し続ける生き方(=ゴールを定めない生き方)」であるかが重要です。

そして人生というマクロなものでなくとも、この思考方法は活かせると思いました。例えば、学生なら試験勉強。リサーチにリサーチを重ねて効果的な参考書を探し、理解度のフェーズに合わせたカリキュラム(勉強ペース)を定め、エクセルに落とし込み、デイリーで進捗達成状況を追っていくという勉強方法を実践したという経験はきっと誰もが持っているはずです(笑) 少なくとも、非効率なことが嫌いな僕は中学校の夏休みの宿題からしょっちゅうこの手法をとっていたわけですが、取って代わって最近は「その日やりたい(やるべき)ものを最高速度・最大量取り組む、そして小まめに評価をしてみる」という計画目標のない手法にしています。これまで多大なリソースを割いていた計画作成、そして計画修正(当然計画通りなどいかない笑)をする必要もありません。楽です。良くも悪くも、計画から感じるプレッシャーも感じないため内発的動機が占める割合も大きくなり、やりがいを感じる。故に継続する。

ただ、この手法では何をどれだけ達成したかを把握することが疎かになりがちなので、しっかり記録・可視化することが大切です。focusboosterっていうポモドーロという技術を使っためちゃめちゃいけてるタイムマネジメントアプリがあって、これを使って作業別時間は記録してます。まるでマーケティングオートメーションのようなダッシュボードで記録を確認できるのでアドレナリンも出まくりです。

なぜか宣伝みたいな投稿になってしまいましたね。誰からもスポンサードはされていません。Focus Booster、ぜひ使って見てください。

www.focusboosterapp.com

トビタテ留学JAPANの魅力はメンター制度

今日は留学を検討しているかもしれない後輩に向けて、ちょっとだけトビタテの魅力についてご紹介。

www.tobitate.mext.go.jp

留学では、私生活・勉強・実践活動などにおいて、日本では経験しない様々な困難に直面します。そんなトビタテ生は「メンター制度」を活用する権利があります。ソフトバンク/三菱商事/トヨタ/武田薬品/JT/JR/伊藤忠/ANA/リクルート/SAPPORO/SONY/EY等の名だたる企業(すべてトビタテの支援企業)の社員がメンターとなってくださり、留学期間にメンタリングをしていただける制度です。

例えば、シリコンバレーでコンピューターサイエンスを学ぶ磐崎とマッチングした企業は「日本IBM」。IBMグループでエンジニア→プロジェクトマネージャーをされている方が、まさに留学というプロジェクトで最高のアウトプットを出すために”PM”してくださいます。業種・職種ともに関心がある上に、そのプロフェッショナルなスキル・経験に直接触れることほど貴重なものはありません。(※メンターの学生に対する関わりは個人差があります。また就職活動の場にするのは禁じられています。)

もちろん、企業はランダム(こちらから指定できない)なのでどの企業の方がメンターになるかわからないですが、むしろ思いもよらぬ業界・職種の方とマッチングして新たな発見があるかもしれません。ぜひ留学希望者はトビタテをご利用ください〜。

海外でIT系企業のインターンを見つける方法

海外に留学したからには現地でインターンをしたい。トビタテ留学JAPANなどの影響も受けて、そういった需要はますます高まっているのではないでしょうか。本記事では、海外(特にシリコンバレー)でインターンシップを探すために、学生団体から流行りのサービスまで紹介していきます。

 

前提として

アメリカに留学する多くの学生は「F-1 VISA(学生ビザ)」で入国・滞在するはずですが、このステータスのままでインターンをすることは違法です。仮に米労働局等に発覚した場合、今後のアメリカ入国・滞在等ができなくなるリスクがあります。せっかく将来を見据えて海外インターンをしても、それを禁止されてしまっては元も子もないので、学生のみなさんは要注意してください。

では学生ビザのままインターンする方法はあるでしょうか。それはOPTとCPT等といった制度です。詳しくは以下をご覧ください。

学生ビザで留学中、合法的に働くには? | アメリカ・ビザ徹底解説 | 現地情報誌ライトハウス

 

海外インターンを探す方法

4つの方法を紹介します。

(1)日本でNPO法人を利用する

AIESECやIAESTEといったNPO法人・学生団体は、学生の海外インターンを仲介できます。事前研修や事後研修、さらにはインターン中のメンタリング制度などが整っているものもあり、初めてのインターン等であっても気軽に利用することができます。特にオススメはAIESECで、世界126ヶ国2400大学70000人のAIESECerがあなたの留学をサポートします。

www.aiesec.jp

www.iaeste.or.jp

(2)日本でインターンしていた企業に紹介してもらう

例えばメルカリやユーザベース、フロムスクラッチなど海外R&D拠点などを持っているベンチャー企業もしくは外資系企業日本支社であれば、日本でインターンしていた際の実績が認められれば、その海外拠点を紹介・推薦してもらえる可能性があります。海外でインターンをするということは文化・言語的な観点でも困難なことも多いため、業界の情報やスキルを日本で身につけておくことは効率が良く、紹介・推薦は別としても日本でインターンしておくことをオススメします。

www.wantedly.com

特に、これから資金調達・IPO・海外進出等を始めようとしているフロムスクラッチインターンはオススメです。マーケティングやデザイン、コンサルティングなどの職種があるので、我こそはという方はぜひご応募ください。

THE B-SIDE | from scratch

(3)LinkedInを利用する

Microsoftが買収したビジネスSNS。世界中の企業がインターン中途採用ともに求人をアップロードしており、業種職種やエリアなどをもとに検索することができます。またプロフィールを充実させておくことでスカウトが届く場合もあります。シリコンバレーでは名刺代わりにもなるので登録しておくと良いでしょう。

www.linkedin.com

(3)WayUpを利用する

学生がスマホ・PCで就職できるサービスとして徐々に有名になりつつあるシリコンバレーのサービスです。アメリカでは日本と真逆に「新卒一括採用」が流行りつつあり、このサービスは21億円もの資金調達を完了しました。facebookGoogleといった企業のインターンも掲載しています。

www.wayup.com

(4)Silicon Armadaを利用する

こちらも急成長サービス。シリコンバレーでデザイン系のインターンを探すならSilicon Armada。WEBデザインのような仕事から、プロダクトデザイン・カスタマーエクスペリエンス設計、ゲームレベルデザインなど、体験にフォーカスした様々な求人があります。

www.siliconarmada.com

 

以上の4つが私自身よくチェックしている方法です。海外(特にシリコンバレー)でインターンを探すのであれば、ぜひ利用してみてください。

www.wantedly.com

トビタテ留学JAPANで文系が理系コースに選ばれる方法

文科省のグローバル人材育成施策である「トビタテ!留学JAPAN」は、2020年までに大学生の海外留学を12万人(現状6万人)、高校生の海外留学を6万人(現状3万人)へと倍増させるための取り組み国家プロジェクトです。日本企業207社による総額116億円の寄付だけでなく、企業の方による事前・事後研修や留学中のメンタリング制度など、至れり尽くせりの留学支援を受けることができます。

そんな通称トビタテで大学生が応募できるコースは主に4つ

  • 理系、複合・融合系人材コース
  • 世界トップレベル大学等コース
  • 新興国コース
  • 多様性人材コース

本記事では、私の自己紹介と私の採用された「理系、複合・融合系人材コース」に受かる方法について書きます。

  

まずは自己紹介

私は上智大学法学部法律学科、すなわちバリバリの文系学部でありながら、トビタテ!留学JAPANでは「理系、複合・融合系人材コース/オープンコース」に日本代表として選ばれました。現在、シリコンバレーにあるDe Anza Collegeでエンジニア留学をしています。

 

高校時代に受けた保守的な教育

ではなぜこのような留学をしようと思ったのか。それはまさに中学校・高校で受けた教育がきっかけです。

私は茨城県つくば市にある吾妻中学校に在籍していました。つくば市は研究学園都市であり、筑波大学JAXAなどの研究機関のみならず、IntelのR&D拠点などがありました。当時からコンピューターを活かしたプログラミング教育などを積極的に行なっており、また自由な校風でもあったことから"アクティブ"に"効率的"に勉強や学生生活を送っていたことを覚えています。

しかし、進学先の高校ではパソコンを使った教育を一切行なっておらず、とにかく団体行動や気力・精神などを重視する文化で、何か新しいことに取り組もうという文化や雰囲気はあまりなかったのです。

 

こんなエピソードがあります。

高校の風物詩といえば文化祭ですよね。生徒会役員兼実行委員でもあった私は、文化祭の来場者数を増やそうとTwitterを使ったマーケティングを実施しようと考えていました。しかし、先生たちの反応は断固NG。なぜならSNSを使うことはいじめの温床になるからだという(もちろん校内はスマホ禁止)。とはいえ時代はSNS。粘りに粘って、理事会まで稟議をかけて遂に創立史上初の文化祭SNSアカウントが立ち上げられたのです。。(翌年からは誰も粘らなかったのか再び禁止)

 

SNSの一件はまだ良いとしても、このご時世に一切コンピューターに触れることない教育などがあって良いのでしょうか。AIが人智を超越する20年後(=シンギュラリティ)、そういった教育によって育つ人間に果たして仕事はあるでしょうか。そんな疑問を抱きながら、都内にある上智大学へ入学しました。

 

日本HPとの出会い

入学直後は海外インターンを斡旋する学生団体や結婚式場のアルバイトなどをしていましたが、6月に転機が訪れます。それが株式会社 日本HPとの出会いでした。当時、HPは次世代ITリーダーの育成に取り組んでおり、運良く採用していただけることとなったHP Student Ambassador(≒インターン)として数々のマーケティングプロジェクトに携わりました。

とりわけ印象に残っていることは、私がPMを勤めたとある高校のデータサイエンス教育プロジェクトです。日本政府はタブレットなどを活かした教育やアクティブラーニングなどを推奨していますが、現場の先生方は急に対応することは決して簡単ではありません。また、プロ野球では対戦相手の投手や戦術のデータ分析が当たり前となっていますが、高校の部活動ではコストの問題もありなかなか普及しません。(あえて精神論を唱え、数字に頼らないチームもあります)。そこで、その高校の野球部がデータ分析ソフトを導入し、そこで得られるデータを用いて生徒が数学の授業で戦術立案をし、監督にプレゼン。最終的にはその戦術を練習や大会で採用するといった”新しい教育の形”を作り上げるサポートをしました。結果として良い記録を出すこともでき、データサイエンス、ひいてはテクノロジーの必要性を改めて認識しました。

 

 シリコンバレー留学を決意

ではそういった教育が最も優れているのはどこか。それは国家政策としてSTEM教育に注力しているアメリカ合衆国、特にシリコンバレーです。今、世界中の学生が世界屈指のSTEM教育を求めて西海岸に集まっています。私はその教育を受けることを通じて、日本に新たなSTEM教育をもたらしたいと思うのと同時に、実際に私自身が次世代IT人材に成長しようと決意しました。

アメリカではスタンフォード大学やUCバークレーといった有名4年制大学に最初から入学せず、公立2年制大学(College)から編入することがよくあります(そのほうが極めてコスパが良いのです)。詳しくはこちら。

www.businessinsider.jp

 

そうして、STEM教育において全米1・2位を争う実績を誇っており、毎年有名4年制大学へ多数の学生を輩出している公立2年制大学「De Anza College」に留学することを決めました。

 

トビタテで文系が理系コースに受かる方法

長くなりましたがここからがトビタテの話題です。ほぼこれまでのエピソードを抽象的にまとめるだけですが、最後まで読んでいただけますと幸いです。 

前提として、トビタテ!留学JAPANの「理系、複合・融合系コース」に応募するために、日本で理系専攻である必要は全くありません。あくまで留学計画がそれに該当していることだけが求められています。では合格するための要件とは何でしょうか。

私は以下の3つだと考えます。

  • 解決すべき課題は明確か
  • すでに行動を起こしているか
  • そこに情熱はあるか

 

解決すべき課題は明確か

 理系専攻の学生と異なり、文系学生は何かの研究に取り組んでいるわけではありません。そこで存在感を出すためには、明確に社会問題を感じていることとその解決手段として科学、テクノロジー、エンジニアリングまたは数学が必要であることを論理的に説明できなければなりません。

また、文系学生によくありがちな「○○のプラットフォームになりたい/作りたい」といった留学計画ですが、具体的にはどこに住むどんな人たちをどういうツールを用いて(作って)どれくらい集め、そのプラットフォームを活かしていつまでに何に取り組むべきかまで浮かばないと厳しいと思います。

 

 すでに行動を起こしているか

落選する多くの学生はここが圧倒的に足りていません。課題が目に見えていて解決方法が少しでも浮かぶのであれば、なぜそれを日本で実行してみないのでしょうか。「日本(もしくはすでに現地)ではまだ何もしていないけど海外に行けばできる気がする」なんていう甘い思考を持った学生に対して、実際に企業で予算管理を行うような社員のみなさんが投資の意思決定をするのでしょうか。規模が小さくとも日本でプロジェクトを立てて成功もしくは失敗している学生の方が、自分の言葉で課題を話すことができ、説得力があるのは当然のことですね。すなわち、トビタテであれば応募の1〜2年前程度(留学開始の1年半〜2年半前程度)から留学計画に直接結びつく行動を起こしておくことが大切です。私の経験ではHPでのデータサイエンス教育プロジェクトがそれに当たりますね。

 

そこに情熱はあるか

早くから行動を起こすことができる人であれば当然の如く持っているかと思いますが、情熱があることが大切です。全く興味がないのに、トビタテに受かるためだけにまるで興味があるかのような留学計画を書く人がたまにいますが落とされます。そもそもトビタテでは事前研修や事後研修を通じて、その目標や達成度について何度も議論する機会があり、興味のない分野では話について行くことすら厳しいと考えているからです。

また、トビタテでは留学計画の実現可能性が求められます。例えば実践活動を行うインターン先に受け入れの確約をもらっているかどうか、などです。日本にいながらもタフな戦いを求められるため、やはり中途半端なコミットでは不十分です。学事センターでもエージェントでも、ありとあらゆるリソースを使い倒す気力のある人が生き残ります。(上智大学のグローバル教育センターにはお世話になりました)

最後に、これはインターンなどを通じて学んだことでもありますが、どんなに大変でも、最後までやり抜けるかどうかは情熱があるかによると思います。ただの留学ならまだしも、実践活動というハードルを設けるトビタテであれば多くの困難にも直面するかもしれません。そういった環境下で結果を出すためには、課題を解決するんだという想いが大切なのではないでしょうか。

 

 

以上の3つが、文系であっても理系コースに受かるために必要なことです。(いや、理系コースに限らないような。。)2018年3月ごろまではシリコンバレーにいますので、もしトビタテでシリコンバレーに来られる方がいらっしゃればメッセージをいただけますと幸いです。また、理系コースは最も募集枠が多い上に倍率も他コースに比べて低いので、チャンスがある方はぜひご応募してみてはいかがでしょうか?こちらもメッセージをいただければお手伝いいたします。

 

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みなさんの留学がより良いものになることを祈っています。

シリコンバレー留学で使っているスマホ回線と銀行

日常生活の拠点を海外へ移すとなると、日常的に利用するサービスも現地に移してしまう方が便利ですよね。とりわけ最初に問題になるのがスマートフォンの通信回線と銀行。本記事ではこの2つについて書いていきます。

 

シリコンバレーの通信回線

ITの聖地でもあるシリコンバレーでは、大学やスターバックスなどのカフェはもちろん、各家庭にWi-Fiが広く普及しています。しかし、留学当初はマップなどを使うことが多いため、やはり通信回線を現地で契約することは大切です(日本からポケットWi-Fiなどを持っていくことは短期を除いてオススメしません)

次に海外で通信回線を契約しようと思った時に気をつけるべきことは大きく3つあります。

これらについて詳しく説明します。

支払い方法

日本では通信基本料や通信量に応じて後払いすることが一般的ですが、アメリカでは前払い(Prepaid)が主流です。例えば通信量6GB分の$40を契約時に払ってしまうため、思いもよらぬ額を請求されるといった事態は免れることができます。また、契約期間が終われば、電話やウェブサイトを通じて更新(Reload)する必要があります。

スマートフォンのBAND対応

日本で購入したSIMフリースマホを持っていけば、現地でSIMを購入することで必ず使えると思っていませんか?正確には間違いです。

スマートフォンにはBANDと呼ばれるアンテナが入っていて、通信する現地の電波に対応している必要があります。残念ながら日本とアメリカではBAND帯域が異なっており、使えるかどうかを確認しておかなければなりません。

まず多くのアジア系メーカー(ASUS,LG,HUAWAIなど)のスマートフォンはアメリカでは使えませ。一方、iPhoneApple)やElite x3(HP)、またNEXUSGoogle)などの米メーカーが作るスマートフォンは快適に使うことができます。

おすすめは、シリコンバレー発祥の企業であるHPが作ったElite x3。Windows 10 Mobileを搭載して、虹彩認証や指紋認証もセキュリティ対策として採用しています。

通信可能範囲(Coverage)

私の住むCupertinoでは一部地域で回線が届かない場所があります。特に格安SIMになればなるほど顕著な傾向があるため、AT&TT-Mobileといった大手キャリアを選ぶのが良いでしょう。私はAT&Tを使っていますが、Apple(Cupertinoに本社)で働くホストファザーはT-Mobileを利用しています。アウトレットやショッピングモールにいけば必ずと言っていいほど契約するカウンターががあるので、まず訪れてみると良いと思います。価格はどこも同じです。

 

シリコンバレーの銀行

通信回線に比べてあっさりと書いてしまいます(笑)

銀行には主にふたつのサービスが存在しています。

大学に授業料を支払ったり、ホストファミリーに家賃(Rent)を支払うといったことはChecking Accountで十分です。Saving Accountは日本に比べてはるかに高い金利がつきますが、管理手数料を無料にするには若干ハードルも高かったりと面倒です。

銀行については

  • US BANK
  • BANK OF AMERICA
  • CHASE

などなどが挙げられます。シリコンバレーであればどの地域であっても存在すると思いますが、日常的にいく場所にATMがあるかどうか、管理手数料はいくらか(無償になる条件は何か)、海外送金手数料はいくらかといった基準で選ぶと良いと思います。

なお、私は上記を検討した結果、CHASEを選んでいます。日本と比較してもサービスが良く、専用アプリなども充実していることから安心して使うことができるはずです。

 

以上、シリコンバレー留学で使っているスマホ回線と銀行でした〜

もはやGoogleはインドの会社になっていた

日本人がアメリカに留学する理由には様々なものがありますが、語学的観点で考えると”純粋な英語”が学べるからという点でしょうか。僕自身もそれをひとつの目的としていますが、ひとつ衝撃だった点をメモしておきます。

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純粋な英語を学ぶ意味として、例えばIT産業の中心であるアメリカで将来仕事をするときにアメリカ人と意思疎通がしやすいように、と当然のように考えていました。しかし、GoogleAppleのオフィスに来て驚いたのはインド人の多さ(噂には聞いていたものの)。アップルのエンジニアとして働くホストファザーのチームにおいても、75%以上がインド人(日本人は0人…!)であるといい、ビジネスにおいてマジョリティだと思っていた”アメリカ人”はマイノリティになっているのです。なぜあそこまでトランプ問題が騒がれているかを身を以て体感したと同時に、IT業界のリーダーは言うまでもなくインド人であることを確信。すなわち、IT業界においては”純粋な英語”を学ぶこと以上に”インドなまりの英語”や’インドの文化’を学ぶことの重要性が極めて高いのです。

これに気づいて今後の留学生活は大きく変わりそうですが、日本人がインド人のように活躍するためにはどうしたら良いのでしょうか。経済や社会制度、教育(とりわけSTEM教育)などあらゆる問題があるとは思いますが、インドにできて日本に絶対にできないなんてことはないはず。良くも悪くも、日本人の勤勉さは世界トップクラスであることも認識しました。どうにかして日本のプレゼンスを高めたいもので