Bay Area Moment

シリコンバレー留学中の上智大生によるブログ

トビタテ留学JAPANで文系が理系コースに選ばれる方法

文科省のグローバル人材育成施策である「トビタテ!留学JAPAN」は、2020年までに大学生の海外留学を12万人(現状6万人)、高校生の海外留学を6万人(現状3万人)へと倍増させるための取り組み国家プロジェクトです。日本企業207社による総額116億円の寄付だけでなく、企業の方による事前・事後研修や留学中のメンタリング制度など、至れり尽くせりの留学支援を受けることができます。

そんな通称トビタテで大学生が応募できるコースは主に4つ

  • 理系、複合・融合系人材コース
  • 世界トップレベル大学等コース
  • 新興国コース
  • 多様性人材コース

本記事では、私の自己紹介と私の採用された「理系、複合・融合系人材コース」に受かる方法について書きます。

  

まずは自己紹介

私は上智大学法学部法律学科、すなわちバリバリの文系学部でありながら、トビタテ!留学JAPANでは「理系、複合・融合系人材コース/オープンコース」に日本代表として選ばれました。現在、シリコンバレーにあるDe Anza Collegeでエンジニア留学をしています。

 

高校時代に受けた保守的な教育

ではなぜこのような留学をしようと思ったのか。それはまさに中学校・高校で受けた教育がきっかけです。

私は茨城県つくば市にある吾妻中学校に在籍していました。つくば市は研究学園都市であり、筑波大学JAXAなどの研究機関のみならず、IntelのR&D拠点などがありました。当時からコンピューターを活かしたプログラミング教育などを積極的に行なっており、また自由な校風でもあったことから"アクティブ"に"効率的"に勉強や学生生活を送っていたことを覚えています。

しかし、進学先の高校ではパソコンを使った教育を一切行なっておらず、とにかく団体行動や気力・精神などを重視する文化で、何か新しいことに取り組もうという文化や雰囲気はあまりなかったのです。

 

こんなエピソードがあります。

高校の風物詩といえば文化祭ですよね。生徒会役員兼実行委員でもあった私は、文化祭の来場者数を増やそうとTwitterを使ったマーケティングを実施しようと考えていました。しかし、先生たちの反応は断固NG。なぜならSNSを使うことはいじめの温床になるからだという(もちろん校内はスマホ禁止)。とはいえ時代はSNS。粘りに粘って、理事会まで稟議をかけて遂に創立史上初の文化祭SNSアカウントが立ち上げられたのです。。(翌年からは誰も粘らなかったのか再び禁止)

 

SNSの一件はまだ良いとしても、このご時世に一切コンピューターに触れることない教育などがあって良いのでしょうか。AIが人智を超越する20年後(=シンギュラリティ)、そういった教育によって育つ人間に果たして仕事はあるでしょうか。そんな疑問を抱きながら、都内にある上智大学へ入学しました。

 

日本HPとの出会い

入学直後は海外インターンを斡旋する学生団体や結婚式場のアルバイトなどをしていましたが、6月に転機が訪れます。それが株式会社 日本HPとの出会いでした。当時、HPは次世代ITリーダーの育成に取り組んでおり、運良く採用していただけることとなったHP Student Ambassador(≒インターン)として数々のマーケティングプロジェクトに携わりました。

とりわけ印象に残っていることは、私がPMを勤めたとある高校のデータサイエンス教育プロジェクトです。日本政府はタブレットなどを活かした教育やアクティブラーニングなどを推奨していますが、現場の先生方は急に対応することは決して簡単ではありません。また、プロ野球では対戦相手の投手や戦術のデータ分析が当たり前となっていますが、高校の部活動ではコストの問題もありなかなか普及しません。(あえて精神論を唱え、数字に頼らないチームもあります)。そこで、その高校の野球部がデータ分析ソフトを導入し、そこで得られるデータを用いて生徒が数学の授業で戦術立案をし、監督にプレゼン。最終的にはその戦術を練習や大会で採用するといった”新しい教育の形”を作り上げるサポートをしました。結果として良い記録を出すこともでき、データサイエンス、ひいてはテクノロジーの必要性を改めて認識しました。

 

 シリコンバレー留学を決意

ではそういった教育が最も優れているのはどこか。それは国家政策としてSTEM教育に注力しているアメリカ合衆国、特にシリコンバレーです。今、世界中の学生が世界屈指のSTEM教育を求めて西海岸に集まっています。私はその教育を受けることを通じて、日本に新たなSTEM教育をもたらしたいと思うのと同時に、実際に私自身が次世代IT人材に成長しようと決意しました。

アメリカではスタンフォード大学やUCバークレーといった有名4年制大学に最初から入学せず、公立2年制大学(College)から編入することがよくあります(そのほうが極めてコスパが良いのです)。詳しくはこちら。

www.businessinsider.jp

 

そうして、STEM教育において全米1・2位を争う実績を誇っており、毎年有名4年制大学へ多数の学生を輩出している公立2年制大学「De Anza College」に留学することを決めました。

 

トビタテで文系が理系コースに受かる方法

長くなりましたがここからがトビタテの話題です。ほぼこれまでのエピソードを抽象的にまとめるだけですが、最後まで読んでいただけますと幸いです。 

前提として、トビタテ!留学JAPANの「理系、複合・融合系コース」に応募するために、日本で理系専攻である必要は全くありません。あくまで留学計画がそれに該当していることだけが求められています。では合格するための要件とは何でしょうか。

私は以下の3つだと考えます。

  • 解決すべき課題は明確か
  • すでに行動を起こしているか
  • そこに情熱はあるか

 

解決すべき課題は明確か

 理系専攻の学生と異なり、文系学生は何かの研究に取り組んでいるわけではありません。そこで存在感を出すためには、明確に社会問題を感じていることとその解決手段として科学、テクノロジー、エンジニアリングまたは数学が必要であることを論理的に説明できなければなりません。

また、文系学生によくありがちな「○○のプラットフォームになりたい/作りたい」といった留学計画ですが、具体的にはどこに住むどんな人たちをどういうツールを用いて(作って)どれくらい集め、そのプラットフォームを活かしていつまでに何に取り組むべきかまで浮かばないと厳しいと思います。

 

 すでに行動を起こしているか

落選する多くの学生はここが圧倒的に足りていません。課題が目に見えていて解決方法が少しでも浮かぶのであれば、なぜそれを日本で実行してみないのでしょうか。「日本(もしくはすでに現地)ではまだ何もしていないけど海外に行けばできる気がする」なんていう甘い思考を持った学生に対して、実際に企業で予算管理を行うような社員のみなさんが投資の意思決定をするのでしょうか。規模が小さくとも日本でプロジェクトを立てて成功もしくは失敗している学生の方が、自分の言葉で課題を話すことができ、説得力があるのは当然のことですね。すなわち、トビタテであれば応募の1〜2年前程度(留学開始の1年半〜2年半前程度)から留学計画に直接結びつく行動を起こしておくことが大切です。私の経験ではHPでのデータサイエンス教育プロジェクトがそれに当たりますね。

 

そこに情熱はあるか

早くから行動を起こすことができる人であれば当然の如く持っているかと思いますが、情熱があることが大切です。全く興味がないのに、トビタテに受かるためだけにまるで興味があるかのような留学計画を書く人がたまにいますが落とされます。そもそもトビタテでは事前研修や事後研修を通じて、その目標や達成度について何度も議論する機会があり、興味のない分野では話について行くことすら厳しいと考えているからです。

また、トビタテでは留学計画の実現可能性が求められます。例えば実践活動を行うインターン先に受け入れの確約をもらっているかどうか、などです。日本にいながらもタフな戦いを求められるため、やはり中途半端なコミットでは不十分です。学事センターでもエージェントでも、ありとあらゆるリソースを使い倒す気力のある人が生き残ります。(上智大学のグローバル教育センターにはお世話になりました)

最後に、これはインターンなどを通じて学んだことでもありますが、どんなに大変でも、最後までやり抜けるかどうかは情熱があるかによると思います。ただの留学ならまだしも、実践活動というハードルを設けるトビタテであれば多くの困難にも直面するかもしれません。そういった環境下で結果を出すためには、課題を解決するんだという想いが大切なのではないでしょうか。

 

 

以上の3つが、文系であっても理系コースに受かるために必要なことです。(いや、理系コースに限らないような。。)2018年3月ごろまではシリコンバレーにいますので、もしトビタテでシリコンバレーに来られる方がいらっしゃればメッセージをいただけますと幸いです。また、理系コースは最も募集枠が多い上に倍率も他コースに比べて低いので、チャンスがある方はぜひご応募してみてはいかがでしょうか?こちらもメッセージをいただければお手伝いいたします。

 

FBはこちら https://www.facebook.com/yuku.iwasaki

twitter.com

 

みなさんの留学がより良いものになることを祈っています。